大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)2686号 判決

おもうに、単一もしくは継続の意思の発動にもとずいて単一の法益を侵害したときは、たとえ行為が数個であつても、これを一罪として論ずべきである。そうして、意思の単一もしくは継続は、行為と行為との間が短期間であるとか、或は行為の各態様が同種であるとかいうような情況からこれを推認して差支えない。

ところで、原判示第一の事実は、被告人は金子信雄方に雇われ会計係として同人の経営する食堂における現金の保管出納等の業務に従事していたところ、昭和二五年一月初旬頃から同年四月末頃までの間に、料理代として他人から受取つて業務上保管していた合計四七四、六四五円の中から、その頃擅に約一一五、九五四円を自己の生活費遊興費等に充て費消横領したというのであるから、この事実たるや、まさに継続の横領意思の発動により雇主金子信雄の財産を侵害したとする業務上横領罪の一罪に該る事実に外ならない。しかも、原判決の右事実の判示は、罪となるべき事実の摘示として、毫も、欠くる所はない。してみれば、該判示をもつて数個の業務上横領罪に該る事実を摘示したものと做し、その各罪の具体的内容事実を各別に明示しない点において原判決は由不備の違法を犯していると非難する所論は、原判決に対する誤解にもとずく主張であつて、とうてい採用するに由ない。

論旨は理由がない。

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